私のところに届いていたメールを、本人に承諾を得ましたので公開します。
元スイス大使の村田光平氏が、経団連の米倉会長に書簡を出しています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
各位
現役スイス大使時代から、原発の危険性を鋭く指摘されていた村田光平さんからのメールを転送します。 ご一読ください。 大類 4月28日。
大類様
お元気ですか。
4月21日付北海道新聞(発行部数5百万の地方有力誌)に事故処理の国策化を訴えてきた私の立場を伝える論説記事が掲載されましたので別添いたします。
別添の米倉会長宛メッセージで決死隊の作業すら不可能なほど放射線線量の高い2号機と指摘しましたが、4月19日、東電に照会したところ、1号機、2号機及び3号機の最高線量は、1号機は800ミリシーベルト、2号機は880ミリシーベルト、3号機は1510シーベルトです。専門家によれば10ミリシーベルトのところに1時間いると致死量に達するとのことですので、決死隊も作業ができないのは2号機に限らないことになります。
最悪の事態が発生すれば打つ手のないこのような福島第一の現状は国家的危機です。 東電によれば福島第一からは毎時1000万ベクレルの放射線量の放出が今なお続いております。
チェルノブイリでは3万人の軍隊を含む30万人の人員を動員して7か月で石棺を仕上げております。
このような状況の下で危機感が欠如する現状は異常です。
このような認識は広がっており,NHKの小林和夫氏の柔道界の不祥事を理由とするオリンピック招致辞退論をはじめ福島事故処理の不始末を理由とする辞退論も取り沙汰され出だしております。
今や緊急課題は原発容認、脱原発など全ての立場の相違を乗り越えて収拾からほど遠い事故処理の促進に国が全責任を負い、国際協力(とりわけ米国)を含め、全力投球する体制を作ることだと思われます。
米国の一部科学者は事故処理の現体制を改善させるために米政府への働きかけを始めつつあります。
ご理解、ご支援をお願いいたします。 村田光平
(添付内容):
日本経団連
米倉弘昌会長殿
平成25年4月18日
村田光平
拝啓
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
ご高承の通り、関係方面の大飯原発再稼働、事故地震原因説にまつわる不可解な対応、5年猶予問題への姑息な対応などがネットでますます大きな問題になっております。一般市民から見て正常な判断が行われていないこと、そしてその背景も自明です。
他方、福島県(福島医大)が実施した県民健康調査の中で、実施に当たった放医研も認める算出値の1/3~1/6.5程度の矮小化が発覚した事例もあり、国民の不安は高まる一方です。活発化する市民活動により「ネットの常識とマスコミの常識の格差」は縮小を迫られだしております。
さらに事故現場での度重なる電源喪失、汚染水の漏出、深刻な熔解燃料棒(今なお1800度を超える)への対処不能、地震が脅かす4号機問題の最悪事態(ジルコニウム火災)への対策不足などを抱えた事故処理の現状は世界の安全保障問題としての認識が世界中に広まっております。
事故現場からはなお放射能の放出が続き、日本は加害国とみなされるに至っております。内外で国の責任が問われだしております。国際社会が動き出した兆候が見られます。
福島国際法廷設置の動きに関する情報と「パニックを避けるため」との口実による情報隠ぺいに対する米国の著名な医師による厳しい非難を添付してお届けいたします。
資金不足で最大限の対応ができていない事故処理の国策化は否定しがたい緊急課題です。地震の頻発が戦慄を覚えさせます。とりわけ震度6強以上で崩壊すること確実な4号機に加え,事あれば決死隊の作業すら不可能なほど放射線線量の高い2号機の先行きも深刻に懸念されております。
このような現状はまさに国家的危機です。超党派で事故処理の国策化と国際協力の具体化を急ぐべきことは論を待ちません。
地震が頻発する中で破局の到来が益々懸念される状況を迎え、経済界の役割が問われ出しております。
貴会長のご指導とご尽力を心からお願い申し上げます。
敬具